活動紹介
国際学校保健コンソーシアムの活動を紹介します。

スリランカにおける青少年クラブを介した地域住民への介入研究 -介入1年後-

スリランカにおける青少年クラブを介した地域住民への介入研究 -介入1年後-
 
日程:2017年7月31日(月)~8月1日(火)
参加者:溝上哲也、山口美輪(国立国際医療研究センター)
 
2009年よりスリランカで行ってきた学校保健研究およびその発展研究は、第3期目に入っています。2016年に開始した介入研究では、各地区の青少年クラブのメンバーを地域における健康を推進する担い手として育成し、住民の循環器疾患リスクの低減を目指すことを目的としています。1年間の介入終了を控えて、現地の視察と、介入効果の評価方法についてカウンターパートと打ち合わせを行いました。
 
初日は、コロンボ大学Samarasinghe元教授、健康増進財団Indrawansa氏とともに12箇所の介入地区のうち5箇所を訪れました。そのうち4箇所では、地区の集会所に集まった住民の方々に介入による健康増進活動や生活習慣の変化などを各30分程度ヒアリングし、1箇所は住民の方と子ども達でバドミントンをする様子を視察しました。同じ介入方法でも地区によって社会的、身体的、地理的な特徴に違いがあることがわかりました。ある地区では、集まった女性の中に際立って発言する方がいた一方、別の地区では女性同士の対等な関係が感じられた地区もありました。性別でみると、集まった住民は4地区とも女性の割合が多かったのですが、1地区のみ男女半分くらいの割合でした。また、体格についても、肥満傾向の住民が多い地区がある印象を受けました。運動場所においては、運動ができる十分な広場がある地区とそうでない地区があり、地理的環境による身体活動の違いが推察されました。
 
2日目は、コロンボ大学Gunawardena博士、Samarasinghe元教授と合流して9月から始まる介入後の調査実施の準備状況、データや調査票の確認、そして今後の調査研究について話し合いました。今後の介入研究の分析結果を踏まえて今後もスリランカにおける青少年、住民らの循環器疾患リスクの低減と健康の維持増進について継続して共に取り組むことを確認し、今回の視察を終えました。
 
また、空き時間を使ってIndrawansa氏にスリランカの自然が感じられる寺院や公園を案内してもらいました。多様な文化と豊富な農作物、そして美しい自然を残すスリランカが健康な住民と共に発展していくように、私たちはこれからもサポートを続けたいと思います。

       
    メンタルチェック             食事記録           体重記録

   
   住民の方へのヒアリング              健康習慣を広める青少年クラブの皆さん

WHO,WACIPAC,ESACIPACとの連携による学校でのNCD対策に関わるレビュー研究に関わる会議の開催

2017年3月9日に、東京大学にてWHO,WACIPAC,ESACIPACとの連携による学校での生活習慣病(NCDs)対策に関わるレビュー研究に関わる会議を開催しました。この会議では、コンソーシアムメンバーによって約半年かけて行われたアフリカにおける生活習慣病対策に関するシステマティックレビュー研究と、ケニアとガーナで発行されている政策文書や活動事例をもとにした研究で得られた成果をもとに、今後の戦略に関する議論を行いました。少数精鋭での議論でしたが、WHO本部で勤務する牧野氏、東西アフリカにおける学校保健の推進拠点であるWACIPAC(ケニア、Prof.Njega)およびESACIPAC(ガーナ、Dr.Irene)の学校保健専門家の協力を得て、今後のアフリカでの学校を拠点とした生活習慣病対策の重要性とその戦略について充実した議論を行うことができました。 
                                                                

トイレ引き渡し式

日時:2016年9月5日
参加者:竹内理恵(長崎大)、秋山剛(長野看護大)、勝野智香子(琉球大)
場所:Agiro 小学校、Lianda小学校、Kuge小学校(ケニア、ビタ地区)

2016年9月5日、長崎大学熱帯医学研究所 ケニア研究拠点がビクトリア湖湖岸のビタ地域で展開しているJICA草の根技術協力事業、「健康な地域社会をつくる学童支援プロジェクト」の一環で、トイレの引き渡し式が行われました。当コンソーシアムからは竹内助教、秋山講師、勝野が参加いたしました。

昨年度の学校保健評価でトイレの必要性が高いと示された3校に対し、Agiro小学校には男子トイレ、Lianda小学校とKuge小学校には女子トイレをそれぞれ引き渡しました。トイレの壁面には健康促進に関するメッセージが描かれています。子供たちや先生、保護者の方は、新しいトイレをとても喜んでくれていました。

                             
            Kuge小学校の女子トイレ                                 Lianda小学校の女子トイレ


                             
            Agiro小学校の男子トイレ                                                                                               Kuge小学校の引き渡し式の様子


                             
       プロジェクトの紹介をする現地スタッフMrs. Liz                        トイレの大切さを教える現地調整員風間氏   


スリランカにおける青少年クラブを介した地域住民への介入研究

スリランカにおける青少年クラブを介した地域住民への介入研究

日程:2016年8月8日(月)~9日(火)
参加者:溝上哲也(国立国際医療研究センター)、桑原恵介(帝京大学)
 
スリランカでは経済発展とともに肥満に伴う生活習慣病が急増しています。私たちの研究グループは、子どもたちのエンパワーメントを通じて、生活習慣病予防活動を子どもたちのみならず親や地域住民に波及させることを目標に研究に取り組んできました。第2期には、子どもたちが媒介役となって母親の肥満を予防する介入研究を実施し、その成果を国際学術誌に報告しました(Gunawardena et al., Int J Behav Nutr Phys Act, 2016;13:45)。
 
2016年からの第3期では、これまでの取り組みを発展させ、地域の青少年クラブを介して、地域住民の循環器疾患リスクの低減を目指す研究をはじめました。今回の訪問では、介入開始前のベースライン調査を担当する青少年に対する講習会に参加しました。講師は、現地協力者である健康増進財団Indrawansa氏、コロンボ大学Samarasinghe元教授、同大学Abeyratne博士です。講習は4時間にわたりましたが、約20名の受講者は真剣なまなざしで講師の説明に耳を傾け、血圧や身長、体重、腹囲の測定に関するトレーニングを行いました。
 

         
(講師による調査手順の説明)                   (講師による血圧測定の説明)                  (血圧測定トレーニング)

翌日、ベースライン調査のため、Abeyratne博士、Indrawansa氏、そして講習を受けたばかりの調査員とともにコミュニティを訪問しました。コロンボ大学Gunawardena教授や、研究に協力いただいている村長もかけつけてくれました。初日のためインタビューや身体測定には時間がかかりましたが、調査員はひとりひとり丁寧に対応し、予定していた対象者の調査を無事終えました。調査上、気付いた点は現地責任者に伝え、改善策を決めました。参加した住民からは、「血圧や体重などの測定を受けることができてよかった」と感謝の声もありました。今後、調査地区で1ヶ月ほどベースライン調査を行い、介入に移ります。本研究を通じて青少年が地域住民の健康を推進する担い手として成長してくれることを期待します。

       
                   (調査受付)                                        (インタビュー調査)                              (調査後の説明)

         


 

溝上班班会議・学校保健コンソーシアム定例会

日時:2016年6月20日
参加者:溝上哲也(NCGM)、神馬征峰(東京大)、小林潤(琉球大)、友川幸(信州大)、西尾彰泰(岐阜大)、サトウ恵(新潟大)、城川美佳(富山大)、長谷川(大阪大)、桑原恵介(帝京大)、Shamima Akter(NCGM)、池田菫(新潟大)、吉元恵里加(長崎大)、上田和昌(信州大)、岩井宙(信州大)、勝野智香子(琉球大)
場所:国立国際医療研究センター 地下1階 中会議室

2016620日、国立国際医療研究センターにて、溝上班班会議および学校保健コンソーシアム定例会を開催いたしました。

 まず、溝上班から溝上先生がスリランカで行っている学校保健を通した生活習慣病の予防について進捗報告がありました。現在は、青少年クラブの活動によって地域のヘルスプロモーションの浸透を図り、生活習慣病リスクを低下させることを目指し研究を行っています。
 続いて、朝倉班からラオスにおけるエコヘルス教育について、神馬班からタイとネパールで行っている学校保健政策実施の促進・阻害要因を特定する研究について、西尾班からは東南アジアの障害者に対するInclusive Educationについて、小林班からはニジェールにおけるイスラム教育とフィリピンにおける災害対策研究についてそれぞれ進捗報告がありました。

 次に、今後のイベントについて協議いたしました。その中で、9月に行われるアジア太平洋公衆衛生学会でのシンポジウムの内容や、2月に実施予定の第回アジア国際学校保健研修の研修テーマが決定いたしました。また、文部科学省との連携事業として、研究者と企業のプラットフォームづくりの可能性について検討いたしました。
 当コンソーシアムは様々な事業を展開しています。興味のある方は、ぜひ今後の情報にもご注目ください。
 Facebookページもあるので、よろしければご覧ください。https://www.facebook.com/groups/305741319489765/

 最後に、友川先生よりWHO学校保健専門家会議の報告がありました(ご興味がある方は、過去の記事『WHO学校保健専門家会議 “国際保健イニシアチブ:保健・教育の成果に向けて”』をご覧ください)。当コンソーシアムでは日本の研究者が今まさに行っている研究を知ることができるだけでなく、官庁や世界レベルの事業にもかかわることができ、学校保健に携わる人にとって重要なネットワーク拠点であると感じました。


 
                        
           進捗を報告する溝上先生(右奥)                          溝上班班会議の様子


                        
           朝倉班が導入予定の寄生虫教材                           神馬班進捗報告      


        
            今後のイベントについて協議   


第2回 ケニア学校保健認定表彰式

日時:2016年2月17日(水)
参加者:小林潤(琉球大学) 竹内理恵(長崎大学) 平安山華江(琉球大学)

2月17日(水)、ケニア国長崎大学とJICAがが実施する「健康な地域社会をつくる学童プロジェクト」の一環で、第2回学校保健表彰式が開催されました。今回は当コンソーシアムから小林理事と竹内助教、琉大学生の平安山が参加致しました。
本式典には保健省と教育省から国、カウンティー、県の各担当者、ビタ県のコミュニティーヘルスボランティア並びに各地区チーフ、校長、保健担当教員、学校運営委員長、児童、保護者ら総勢1,075人に及ぶ参加者が集い、大盛況となりました。

ケニアの教育省と保健省が定めた指針に基づき、金賞(6校)、銀賞(12校)、銅賞(3校)、最優秀改善校(1校)と最優秀保健クラブ賞(1校)も、あわせて表彰しました。


アフリカ地域のNCDに関するシステマティックレビュー勉強会

 

日時:2016年6月17日(金)~6月18日(土)
参加者: 友川幸(信州大学)、西尾彰泰(岐阜大学)、秋山剛(長野看護大学)、三宅公洋(信州大学)、勝野智香子(琉球大学)

 2016年6月17-18日、菊地君与先生(九州大学 持続可能な社会のための決断科学センター 健康モジュール 講師)をお招きし、Africa×NCD Systematic Review 勉強会を開催いたしました。当コンソーシアムからは、友川幸准教授、西尾彰泰准教授、秋山剛先生、三宅公洋研究員(信州大学)、勝野智香子(琉球大学)らが参加しました。
 システマティックレビューに関する基礎知識を菊地先生にご講義頂いた後、レビュー対象論文を決めるPICO演習などを経て、実際に文献選定を開始いたしました。主に口腔保健、たばこ、栄養などを対象テーマとし、今後半年ほどかけてレビュー作業を進めてまいります。アフリカ地域を対象としたシステマティックレビューは新しい試みで、手探りの状態ではありますが、勉強会を通して多くの情報を得ることができて、今後の研究につながるとても良い機会になったと感じます。


                                                                              

                                菊地先生によるレクチャーのようす                         PICO演習のようす



                                                                                                

        Population/Intervention/Comparison/Outcomeを決めます                  検索式を思案中

第5回 アジア学校保健栄養研修

日時:2015年11月26日(木)~12月4日(金)
参加者: 小林潤(琉球大学)、友川幸(信州大学)、西尾彰泰(岐阜大学)、児玉光也(横浜市立大学)、平安山華江(琉球大学)、Kethsana Kanyasan(琉球大学)

皆 様こんにちは!私はラオス国立大学で講師をしているケッサナ・カンヤサンと申します。現在博士後期課程の1年生として琉球大学保健学研究科国際地域保健学 教室に留学しております。この度、第5回学校保健栄養研修にサポートスタッフとして参加させて頂き貴重な経験を得ました。
今 回が5回目となる同コースは、国際学校保健コンソーシアムが、タイのマヒドン大学およびイギリスのPCD(Partnership for Child Development)と共に企画し、アジア11カ国(バングラデシュ、ブータン、カンボジア、ミャンマー、ネパール、ラオス、インド、パキスタン、パ プアニューギニア、フィリピン、タイ)から約30名が参加しました。研修では学校保健と栄養に関する様々な講義とワークショップ、バンコク県内の小学校2 校の見学が行われ、参加者は自国での経験を共有しながら、活発に意見交換を行いました。
研 修では、多くの専門家によって学校栄養や学校給食、歯科保健の推進、非感染性疾患に対する学校保健の現状分析、駆虫などをテーマに学校保健と栄養に関する 講義も行われました。最終日には、各国のグループが研修で得られたことを活かして作成した学校保健アクションプランを発表しました。
今 回の研修は私だけでなく、参加者にとって実践に活きる学校保健・栄養を理解し、知識を深める機会としてとても有意義なものであったと思います。特に FRESHとSystems Approach Better Education Results (SABER、より良い教育結果のためのシステムアプローチ)モデルについて学べたことは多くの国にとって効果的に学校保健・栄養を進めて行く一助となっ たと考えます。
 

  • 開会あいさつの様子

  • 小林教授による講義

  • ワークショップにて友川准教授と参加者が 意見を交えている様子

  • プラヤパサート小学校の見学

  • バンバンチャック小学校の見学

  • カンボジアの参加者による活動経験の共有


WHO学校保健専門家会議 “国際保健イニシアチブ:保健・教育の成果にむけて

日時:2015年11月23日(月)~25日(水)
参加者:神馬正峰(東京大学),小林潤(琉球大学),友川幸(信州大学、WHO),平山華江(琉球大学) 他

2015年11月23日から25日に、バンコクで行われたWHO学校保健専門家会議に、当コンソーシアムから理事長の小林潤教授と事務局長の友川幸准教授、理事の神馬正峰教授、平山華江が参加しました。神馬教授は1日目に「エビデンスに基づく低中所得国の学校保健における非感染症疾患予防の実践」について、小林教授は2日目に「低中所得国の学校における保健推進のための組織能力形成の機会と課題」について講演を行い、友川准教授はWHOのコンサルタント(学校保健)として会議の運営に携わりました。

会議には、世界各国(約30カ国)から学校保健専門家、保健または教育行政担当者、国際NGO(PCD,セーブ・ザ・チルドレンなど)従事者が総勢50名以上集いました。1日目はこれまでの学校保健の成果や学校保健の機会の拡大について、2日目は各地域別の状況と学校保健に係る困難への取り組み、3日目には今後の保健と教育における課題への対応をテーマに会議が進められました。全日程を通して、専門家によるプレゼンテーションと参加者を4グループに分けたラウンドテーブルディスカッションが行われ、世界における学校保健の共通課題を認識しあいながら、各国・各地域の状況に応じた学校保健計画が検討されました。

3日間の会議を通して、学校保健における駆虫や手洗いの促進などによる感染症対策の成果を再認識し、非感染症疾患への取り組みの必要性、持続可能な開発目標(SDGs)が国連によって採択された今日における地球環境や災害対策も視野に入れた持続的な学校保健の在り方、保健と教育関係者間のより良いパートナーシップ構築、包括的な学校保健の実施の在り方を見つめる機会となりました。

  • 参加者の集合写真
     

  • 専門家によるプレゼンテーション
    (座長:小林教授)

  • 活発な質疑応答に応じる神馬教授
     

  • ラウンドテーブルディスカッションにて
    ファシリテーションを行う友川准教授

  • 小林教授による
    プレゼンテーションの様子
     

  • KC氏(WHOヘルスプロモーション
    コーディネーター)と
    会談する小林教授と神馬教授


スリランカ西部州学校保健プロジェクトフィールド訪問・研究打合せ

日時:2015年8月24日(月)~26日(水)
参加者:溝上哲也(国立国際医療研究センター)、桑原恵介(帝京大学)
文責:桑原恵介

これまで、私たちの研究グループでは、スリランカにおいて、子供が媒介役となって母親の肥満を予防するユニークな取り組みを進めてきました(介入12校、対照10校)。今回は、現地協力者である健康増進財団Indrawansa氏と研究参加コミュニティを訪問し、母親や子供たち、親族、ファシリテーターとの面談を行うとともに、コロンボ大学において、第2期の成果をまとめるための論文に関する検討および第3期の研究計画について打ち合わせを行いました。

母親たちからは、このプロジェクトに参加したことによって、散歩やジョギングなどの運動をはじめるようになった、あるいは油の家庭での使用量が半分まで減ったといった声を続々と聞くことができました。スリランカ農村部では、女性が余暇に運動をする習慣がなく、運動をはじめた当初は周りから笑われることもあったそうですが、今ではそういったこともなくなったようです。減量したことで、夫から「以前と比べて健康的になった」との前向きの評価もあったようです。また、このプロジェクトに参加したことがきっかけで、コミュニティ内でイベントを開催するなど、家族間のつながりが強まったとの声も聞かれました。

  • (介入状況を示した地域マップ)

  • (踊りを披露する子供たち)

現地協力者であるコロンボ大学Samarasinghe教授の研究室を訪問し、Gunawardena教授、Naddeka博士、Indrawansa氏らとともに、子供を通して母親の生活習慣変容および体重管理を目的とした介入を行った第2期の成果に関する論文の最終段階の打ち合わせを行いました。さらに、今回の訪問の重要な検討事項である次期(第3期)研究計画に関して、コミュニティへの新たな介入方法や対象の設定について、実現可能性も踏まえて話し合い、今後のスケジュールなどを含め一定の合意にいたりました。第3期研究計画の実施に向けて、動きをこれからさらに本格化させる予定です。

  • (コロンボ大学での打ち合わせ後の集合写真)